次なる国境をめざして その4



その後また2時間ほど行くと、いよいよチヤウドックというベトナムの町に上陸します。この町がまたとてもおもしろい町で、ものすごく寺が多いのです。



私が上陸したのはちょうど旧暦の大晦日で、街中が春節を迎える準備でごったがえしていました。街を歩くと、子どもたちが中心になって、ドラゴン踊りや太鼓のパフォーマンスの準備で、みな浮足立っています。そうですね、ちょうど諏訪の御柱祭の準備で街中が興奮のるつぼで、もう押さえきれないといった感じです。私もこの日は0時過ぎまで街中をウロウロしていました。

ところで、私がプノンペンに行った目的のひとつは、10年ほど前にカンボジア人と結婚して、プノンペンで暮らしている女友達に会うためでした。遠い異国で言葉も習慣にもなかなかなじめず、寂しい思いをしているのではないか?と勝手に気になっていたからです。ところが、そのカンボジア人の連れ合いというのは、8歳の時から20年ほどを日本で暮らしたというバイリンガルで、もう底抜けに明るく、かつカンボジアに対する熱い思いが留まるところを知らない熱血漢で、ああ、こんな人と一緒なら、彼女が「カンボジアに骨を埋めるつもりだ」というのも納得できました。

で、彼ほど自由に2か国語を扱える人も滅多にいないので、日本からのメディア関係者はほとんどすべて彼の元を訪れるのだとか。つまり、私たちがもしも、ベトナムカンボジアの国境越えツアーを企画するなら、彼ほど強力な協力者は、全カンボジアを見てもなかなかいないわけです。

ということで、問題はお金と、日数だけですね。もう少し検討しましょう。でも一番の問題は、行って見たいという、みなさんのモチベーションです。それさえあれば、次なる国境は簡単に越えられます。みなさんの熱意に期待しつつ、私はそろそろ“山の分校”に戻ります。

(この項おわり)