アジアへ! その6



クアラルンプールには、ちょうど足かけ1週間の滞在でしたが、帰国の前日、クアラルンプールで最も古いといわれるマスジッド・ジャメモスクへ出かけました。ただ、このモスクがあるマスジッド・ジャメ駅は、中華街や街の中心部に出るときに通るので、駅のすぐ目の前に広がるモスクはすでに何度か目にしていました。“異教徒”の女性でも、ベールを借りて中に入れると聞いていたので、一番最後の目的地として残しておいたのです。

ところが、私が張り切って出かけたその日は、金曜日だったんですね。曜日のことなど考えていませんでしたが、イスラム教徒にとって、金曜日は一日礼拝の日で、異教徒どころか、イスラム教徒でも女性は中に入れないのです。自分のうかつさを恥じたのですがこれはもうどうしようもありません。






外から写真など撮っていると、ちょうどお祈りの時間で、高らかにアザーンが響き渡りました。その声を録音してから駅の階段を上り、もう一度ブキッ・ビンタンにでも行ってみようかと思ったのですが、高架になっている駅のホームに出ると、こんな光景が私の目の前に広がったのです。

マレーシアではイスラム教が国教となっています。総人口およそ3000万人のうち、2000万人近くの人がモスリムであり、この日この時間には、全国の至る所で、彼らはいっせいに神に祈りをささげているのです。また、お隣のインドネシアは、世界最大のモスリム人口を抱えている国であり、およそ1億7000万人のイスラム教徒がいるといわれています。そして中国全土には、回族というイスラム教徒がおよそ1000万人、新疆省には、ウイグル族などのイスラム教徒がやはり1000万人ほど存在します。(この数字はとても大雑把なものです)

イスラム教というと、何となく、砂漠や荒れた岩山に囲まれた中近東(「西アジア」)をイメージしがちですが、年中湿度80%という熱帯雨林に囲繞された「東南アジア」や「南アジア」に、こんなにも多くのモスリムがいるのだということを、あらためて肝に銘じさせられた光景でした。