アジアへ! その5

クアラルンプールは、もともと錫の採掘を目的に、中国人移民が開発した町で、中心部に中華街が広がっています。実は、こちらに来るまで、私はクアラルンプールはそういった歴史を持っているし、中華系の住民も多いので、きっと中国語が通じるだろうと思っていました。ところが現実はまったく。。。

まず、マレーシア系の人もインド系の人も当然のように中国語を解さないし、たまに出会う中華系の人に話しかけても、彼らが話す言葉は、広東語や福建語で、私(たち)が考える中国語、つまり北京や東北地方で使われている“標準語”を話す人など、ほとんどなきに等しいくらいの少数派だったのです。

ちなみに、マレーシアでは、マレーシア語が公用語で、かつての宗主国の英語が準公用語です。街中で道を聞いても、ほぼ80%以上の人が英語を話します。



中華街まで行けば、“標準語”も通じるだろうと思って行ってみました。結果、やはり広東語の世界でした。界隈は私にとってはおなじみの光景でしたが、通りは観光客でにぎわっていました。特に欧米系の人が目につき(やっぱり目立ちますからね)、バックパッカーの姿もあちこちに。彼ら向けの安宿が街のど真ん中に看板を並べ、どうやら長逗留している若者たちも多そうです。欧米系の人にとっては、やはり中華街は、“オリエンタル”な魅力にあふれる異空間なのでしょうね。



中国人の商売繁盛の神様が祀ってある、関帝廟です。この関帝廟は、世界中どこのチャイナタウンに行ってもあるし、日本の中華街にもあります。店の中や出入り口に小さな関帝を祀っていたりもします。私は直接目にしませんでしたが、マレーシアにはもちろん仏教寺院もあります。


すぐはす向かいに、スリ・マハ・マリアマンというヒンドゥー教の極彩色の寺院がありました。時間がなくて私は入れなかったのですが、靴を脱いで、その靴を入れる籠貸し料20円くらいを払うと誰でも入れます。電車の中などで、ときどきシーク教徒の人も見かけました。独特の髷を結っているのでわかるのです。



ごみごみした商店街の裏道に、こんな標識が出ていました。イスラム教の礼拝所があるという意味です。ちょっとのぞいてみたら、コンテナを利用しただけの部屋でお祈りをしている人がいました。



上海書店という本屋さんで。村上春樹太宰治三島由紀夫大江健三郎芥川龍之介などの名前が並んでいます。一番人気は村上春樹です。どんな人が買ってゆくのか気になりますね。


この近くで、実にけったいなものを見つけたのです。フィッシュスパと看板が出ていましたが、水槽に脚を浸すと、すごい勢いで魚たちが寄ってきて、足を突くのです。きっと角質を食べるのではないかと思うのですが、店の人は突くだけだといっていました。最初はちょっと痛いというか、不気味な感触なのですが、慣れてくると足裏マッサージのようなもので、終わってから、なんだか足が軽くなったような気がしました。この魚を連れ帰って繁殖させ、個人用の小さめの水槽に飼って毎日遊んでみたいなぁと思いました。で、この店の若い女性が、標準語を話したのです。私はクアラルンプールに来て、初めて“中国語”で会話することができました。