アジアへ! その7



今回私が利用したのは、マレーシアに拠点をおくLCC(ローコストキャリア)のAir Asia X です。国内線はAir Asia といって下の写真です。国際線には、白地のX(エックス)の中にロゴが入ります。距離はよくわからないのですが、とにかく6時間半。関空ー上海だと、場合によっては2時間を切りますので、かなり“たくさん”飛んだことになりますが、料金は往復で31,250円でした。JALなんかの半額くらいです。で、このLCCをだれが使うかというと、日本人はほとんどゼロに近くて、行きも帰りも多分私ひとりでした。通関のときにわかるのです。


これはクアラルンプールから関空に戻るときですが、遠くにマラッカ海峡がよく見えました。その後、熱帯樹林帯の上空を飛んで、南シナ海に出ます。


私はいますでに村に戻っていますが、関空から兵馬俑で有名な西安行の春秋航空という中国のLCCを利用しました。西安からは列車で7時間ほどで、最寄り駅の呂梁に着きます。北京や上海を経由するよりずっと便利なのです。写真は機内で。日本製電気釜が荷物棚に鎮座していました。春秋航空も安いことで有名で、日本行のチケットが1万円を割ることはざらです。

話は戻りますが、クアラルンプールから関空に戻ったのは午後10時を過ぎていました。LCCは安い分、発着の時間帯が悪いのです。空港から梅田までは午前2時までバスが出ていて、私はそのバスに乗って梅田に行き、ファストフード店で時間をつぶして、5時の始発で松本に向かったわけです。

で、このときのAir Asia の私の隣席に座っていたのは、インドネシアからやってきた家族連れで、税関を出たところでぼんやりしていたので、何かお手伝いすることがありますか?と声をかけました。すると、大丈夫です、朝まで待って国内線に乗り換えて札幌に行くのだと答えたのです。やっぱり北海道が憧れの地なんですね。とりわけ生涯雪を見ることがない人たちにとっては。

もうひと組ベンチに座り込んでいたカップルと話したのですが、彼らもインドネシア人で、朝になったら天王寺まで出て、谷町の方にある、インドネシア人がよく泊まっている民宿に行くといっていました。初めての日本なのに、友達同士でいろんな情報を交換し合っているようで、ちょっと驚きました。

私は午前2時のバスに乗るまで3時間ほど空港のロビーにいたわけですが、空港で夜明かしをしていたのは、中国人、韓国人、マレーシア人、インドネシア人……で、日本人とか欧米人にはひとりも出会いませんでした。徹底的に“アジア”だったのです。

ただ、空港で働いている日本人はもちろんいました。24時間オープンのマックとローソンがありましたし、電子翻訳器などというものを駆使しているガードマンもいました。聞いてみると彼はまだ高校生だそうで、つい最近始めたバイトだといっていました。もしかしたらむつみ高校のような通信制の学校かもしれませんね。そんな時間に働くなんて。深夜バスの係りの若者もいて、カタコトの中国語で頑張っていました。最近は日本を訪れる観光客が、とりわけアジアからのお客さんが増えて、その分こうやって空港で夜明かししたりする人も増えたのでしょう。新しい雇用も生んでいるということだと思います。

“アジア”へ向かった1週間の後に、深夜の関西空港で、また新しい“アジア”にも出会うことができたと、時代の流れをしみじみかみしめた旅の終わりでした。
(この項おわり)