山のお正月 その4



それぞれの家の庭にも土地神様が祀ってあるので、それにもお供えをしたり、飾りつけをします。


これは小麦粉で作った「花花」(hua hua)というお供え物で、日本の小さな鏡餅のように、敷居の上とかカマドの上とか、いろんなところに置きます。


魚の準備をしていますが、こんな尾頭付きのものは、葬儀・婚礼を除けは、1年に1度だけです。


このじいちゃんが用意しているのは餃子の具。春節の朝には家族そろって餃子を食べるのが習わしです。こちらの餃子はすべて水餃子で、日本のような焼き餃子は食べません。中身はだいたい決まっていて、ニンジンと豆腐と豚肉。

夕方になると、「年夜飯」(nian ye fan)というごちそうを食べます。これにも当然伝統的なものがあるはずで、私は去年もおととしも、そういったものを作る家庭を探し続けているのですが、ついに見つかりませんでした。理由は、もうかつてのように大人数がそろうわけではないからです。春節にも帰郷しない人たちが増えてきたのです。


日が暮れると、何軒かの家で電飾が灯されました。この写真は村で一番金持ちの家で、近くの村で洗炭工場を経営しています。

0時が近づくとあちこちからいっせいに花火が打ち上げられ、爆竹が鳴らされます。しかし、それもこれも、すべて自分たちの家族で執り行われる行事で、みんなで広場に集まってするとか、カウントダウンまがいのことをするというようなことはありません。村の大晦日は、あくまで家族中心、みんな門の外へ出ることもなく、実はとても静かに更けてゆくのです。