なつめものがたり その8

なつめは毎日何を食べていたかというと、基本的には米。ごはんに残り物のおかずやふりかけなどをかけてあげていました。私が肉を食べないので、かつお節の粉とか魚の缶詰の残り汁とか、たまにはゆで卵、ソーセージなどです。だから肉よりむしろ魚系が好きみたいで、特に、日本から持って来た「さんまのかば焼き」は、空き缶になってからもいつまでもペロペロ舐めていました。

もっといいものを食べさせたかったのですが、そうすると私が外出するときに、ゲンワン家で出すものを食べなくなって、「こんなでは預かれないわ」という事態になってしまうからです。ドッグフードが手に入ればよかったのですが、当時は1日泊まりで太原まで行かないと買えませんでした。

ところで当地のとうもろこしは、日本のものとは品種が違っていて、カラカラに乾燥させて粉に挽き、麺の材料にします。はっきりいってものすごくまずくて、私もほとんど食べないのですが、季節になると何人かの村人が持って来てくれます。断わるわけにもゆかないので、やむなくなつめのごはん、ということになるわけです。


「わたし、これおいしくないのしってるもんね。たべたくないわ」


「せっかくでわるいけど、どうしてもだめ」「(こうしてれば)きっとまたソーセージのみじんぎり、いれてくれるかな」



なつめは棗も大好きです。山の畑に行くと、じょうずにおいしいのをみつけて拾ってきます。でも、私が庭に干しているものには絶対に手を出さないおりこうさんです。