田中君の日記 その7

10月2日(火)晴れ/三交

朝8時半賀家湾村を発つ。色々とありがとう。そしてさようなら。

一度臨県に出てから三交に向かう事に。臨県はそこそこ賑やかで屋台がたくさん出ていた。昼食はそこで、薄焼きを細く切ったものに葱だれをかけたもの。何事も無く唯美味しかった。

それと、ケーキみたく大きな月餅を御土産に三交の御宅へ伺う。家の状況は大よそ聞いていたものの、それ程何かを感じた訳ではなかった。

夕食は持て成しにとの事らしく、採って来た豆とトマトと手打ちのうどんを頂いた。以前賀家湾村で頂いた物より細麺で、パスタのようだった。相手の御婆さんは大変に気を使っていて、普段はあまり見ない(電気代がもったいないから)というテレビを点けた。その中で放送されていた料理番組の食材の豪華さ、贅沢さに当惑してしまった。目の前の美味しさは少しも損なわれる訳ではない。ただ釈然としないのだった。ご馳走様でした。

何をしたのではない一日だが疲れてしまった。四人が眠るには少し狭い寝床にいると、昔よく泊まった祖母の家を思い出した。やや重たい布団を被って、いつの間にか僕は眠っていた。