田中君の日記 その2

9月27日(木)晴れ/賀家湾

慣れない寝袋での睡眠のせいか何度も起き、眠る度に夢を見ました。

障子戸越しに朝の陽が零れ、聞き馴れない鳥の声で目が覚めると、村では既にオート三輪が轟音上げて走っています。外に出ると雲が厚く覆っていて太陽が見えません。しかし次第に雲間から太陽が僕の生活感無い顔を暴くように差し込んでくるのでした。

午前中は庭の草取り。午後は小論文を少しやって、分校の愛犬なつめちゃんのお散歩へ。

この村の道はどこまでも続いています。向こうの山、その又向こうの山。きっとどこまでも行けるに違いありません。道が続く限り歩いてみたくなりました。

夕食は昨晩いただいたアワの粥と、乾麺と日本のめんつゆでうどんを作りました。分校の庭で作っているチンゲン菜とインゲン豆と葱を使ったのですが、どれも格別に美味しい!表現するのが難しいのですが、とにかくとても感激しました。ご馳走様でした。

夕方の辺りには、暗さと明るさが入り混じった空が広がっていました。山際には夕暮れの名残が垂れ籠めていても、その反対には明朗な月が懸かっていて、僕はちょうど昼と夜の境の空を見ていたようでした。日本にこんな空があるかは覚えがありません。恐らく空なんか気に留めずに暮らしていたのでしょう。

明日は朝水汲みと小論文。午後には市(いち)へ行く予定です。21時半頃就寝。