田中君の日記 その1

9月14日、テラ・スコラから、栄えある第1号の留学生として、田中君が東港日本語学校にやって来ました。毎年行われる、テラ・スコラツアーのメンバーと一緒に来て、彼だけひとり中国に残留したわけです。

ところが間が悪いことに、こちらでは、9月28日から10月7日まで、国慶節休暇に入り、学校そのものが閉まってしまいます。生徒も教師も食堂のおばさんも門衛のおじさんも、みないなくなってしまうのです。

それで田中君は、25日、私と一緒に瀋陽から太原行きの飛行機に乗り、1泊して翌日には太原→離石→招賢→賀家湾、つまり“山の分校”に到着したのです。

以下、彼が留学先の東港に戻るまでの間、この山の分校で何を見、何を聞き、何を食べ、誰と会い、何を話し、何を感じたのか?つらつら日記などしたためてもらうことにしました。

9月26日(水)晴れ/太原

朝5時半位に起床。7時半の電車で呂梁まで。電車に30分の遅延があったものの無事に到着、その後はバスで賀家湾まで。

不思議な気分でした。僕は村を見た時、何らかの驚きに接すると思ったからです。村の急峻な様子や山が綺麗に棚のような形をしている様を見て驚いても、そこでの暮らしそれ自体は特別珍しいものではありません。

その地域で採れるものを食べ、明るくなったら起き、暗くなったら眠る。それだけなのです。村も険しい所に位置はしているものの、不自由はほとんど無く、村には近々晋劇(この地方の伝統芸能)用の舞台や村の建物も新しく建つそうです。地図や写真での見た目だけの辺鄙さにごまかされていたように思います。

夕食は、近所にいる元八路軍兵士の孫老人の家で、アワとカボチャ、サツマイモのおかゆと、蒸し麺のトマトソースがけを頂きました。おかゆは素朴な味ですし、温まるので朝食にも良いかもしれません。麺も蒸したからか、とてもモチモチした食感で、トマトソースと良くなじんでいます。どちらもとても美味しかったです。ごちそうさまでした。

明日は家周りの掃除と小論。どちらも半端にならないようにします。21時半頃就寝。