テラ・スコラ国境を巡る旅 (つづき その7)

9月29日(木) 東港→河口→丹東→瀋陽

東港のみなさんと、“涙のお別れ”(毎年みんな泣くのです、必ずといっていいです)をしてから、私たちはバスをチャーターして国境沿いの道を丹東市内に向かい、そのまま河口というところまで行きます。丹東から1時間半ほどかかります。

河口には、もうひとつの「断橋」があるのです。やはり朝鮮戦争のときに、この橋を渡って多くの義勇軍が中国から朝鮮に送られたため、米軍が空爆して破壊したのです。ここは丹東市内の断橋よりも、先端まで行けるので、ほんとうにズバッ!と、まるで大根を断ち切ったかの如く露になった断裂口がよく見えます。

やはり観光地になっていて、レストランや宿泊施設が並んでいるのですが、鴨緑江もここまで遡るとずっと静かで、その名の通り、緑色の水を湛えてとうとうたる大河の風情です。対岸の北朝鮮の風景も新義州のあたりとは違って、純農村で、人影をみることもありません。

ここに来て、北朝鮮と中国の風景を比べると、一目瞭然のことがあるのですが、中国側の山は緑が青々と茂っているのに、北朝鮮側は赤茶けたハゲ山がひろがっているのです。何年か前の参加者で、この風景を見てショックを受け、農業大学に進路を変更して、植林について学んでいる人もいます。テラ・スコラの旅が、ちょっとした(あるいは大きな)人生のターニングポイントとなった人は少なくないのです。

帰途、虎山という万里の長城の東端といわれてるところに寄ります。すべて修復されたものですが、ここでのお目当てはそれではなく、“一歩跨”というところです。鴨緑江は中下流ではとても中州が多い河で、その中州はほとんどが北朝鮮領になっています。ですから、この一歩跨に来ると、ほんとうに一歩で跨げるくらいの近くに、北朝鮮があるのです。

石を投げると届くくらいの距離で、何年か前、かつて野球部に所属していたというむつみのスタッフが、中国側から石を投げたら、無事北朝鮮の領土に着地しました。

その後丹東から高速バスで瀋陽に戻り、その夜は、お待ちかねの“ホテルバイキング”を予定しています。東港の学食はおいしいのですが、確かに油っこくて、食傷気味という人もいることでしょう。5☆ホテルの“西式自助餐”(西洋式バイキング)をゆっくりと楽しんでください。