テラ・スコラ国境を巡る旅 (つづき その1)

9月23日(金) 天津タングー港着

下に書いたように、到着時間は予定通りというわけにはゆきません。しかし、私のこれまでの経験からいうと、2回に1回くらいはほぼ予定通りに着き、3回に1回くらいは2、3時間遅れくらいで到着します。しかし、船の場合、それからが長いのです。空港に到着した場合は、飛行機を降りてすぐに入国審査というのがあり、ひとりずつ並んでカウンターに行き、パスポートを提出して、税関職員が問題ないと見れば、入国スタンプを押してくれて終わり。現在は、日本人は2週間以内の観光は、ビザなしなので簡単です。北京空港のように同じ時間帯に到着便が多いと行列が長くなったりしますが、瀋陽なら、だいたい30分もあれば、空港ターミナルの外まで出られます。

ところが船の場合は、着岸してまず、イミグレーションが船内に乗り込んできてさまざまなチェックがあるのです。燕京号は貨客船なので、人間以外にも大量の荷物が積み込まれています。どうやらそれらに関して複雑な手続きがあるようで、それが終わるまで、お客さんは延々と待たされます。そして係員がようやく下船して、その後に何だか意味不明の荷物、おそらくは乗組員が毎回買い込んでくる“個人輸入品”じゃないかと私は思うのですが、そういったものをゾロゾロ降ろして、それからようやくお客さんが下船することになります。この間1時間ほど。そしてその後に普通に入国審査があるのです。

そして、タングー港から天津の中心部にある天津駅まで、タクシーで1時間ほどかかります(もしかしたら現在はモノレールが走っているかも?)。

ということで、天津から瀋陽に移動する列車の切符を、実は、2種類買う予定です。

つまり、予定通りに着けば、18:16発のD175列車で瀋陽までその日のうちに行けます。到着は22:55 と遅いですが、宿泊は到着駅のすぐ隣にあるホテルです。この、頭にD がつく列車は、例の温州で追突事故を起こした高速鉄道で、4時間40分で瀋陽に着きます。なにしろとても速いのです。

で、これに間に合いそうもなければ、23:18 の夜行列車に乗ることになりますが、これだと8時間40分かかります。2種類購入しておいて、どちらかをキャンセルということになります。キャンセルには20%の手数料が取られますが、致し方ないですね。夜行列車は疲れるので、なんとかD175 に乗りたいです。やや不安はありますが……。

夜行列車に乗った場合、到着は;

9月24日(土)7:58   瀋陽北駅着

瀋陽には、瀋陽駅と瀋陽北駅というふたつの列車の駅があります。街の中心部にあるのは瀋陽駅で、この駅舎は、かつてこの地が満州国と呼ばれていた頃の名残の建造物です。日本人の建築家が設計しているので、東京駅の八重洲口にそっくり、なんと駅前には、ユニクロ無印良品吉野家などなど、日本資本(あるいは合弁)の店舗が連なっているのです。今回はこの駅は使いませんが、一度は見学に行って、“満州国”の歴史についても考えてみたいと思っています。

私たちが使うのは、新しくできた方の瀋陽北駅で、実はここがとても便利なのです。宿泊する郵政賓館は隣接しているし、その日に行く撫順行のバスも頻発しています。また、後に丹東へ行く長距離バスのターミナルも歩いて行けるところにあるのです。

その北駅から私たちは「雷峰号」というバスに乗って撫順という町に向かいます。1時間くらいです。ここには、私たち日本人が、決して目を背けてはならない、とても大切なものが眠っているのです。