9月21日 731部隊遺址

今回ハルビンを加えたのは、同行スタッフTさんの「731部隊遺址見学を加えたい」という要望からでした。特に当時の関係者が、後の日本医薬学界にどのような“遺産”を残したのかということも含めて、医療関係への進路を考えている生徒たちに見せたいという考えがあったからです。(731部隊に関してはネット上に膨大な資料があるので、検索してみてください。)

私は15年前に一度、今回の下見に一度行ったことがありますが、やはりここには言葉にできない特別な重い空気が漂っていて、展示室を順々に回っていくごとに気が滅入ってくることは確かです。これを生徒たちに見てもらうにはかなりの“勇気”がいるなぁと思っていたのですが、それぞれの心の中に何を残したのか、当日も反省会というか、話し合いの場を持ってもらったのですが、また日本に帰ってからも何度も話し合ってほしい問題です。

私が個人的に懸念していたことのひとつに、館内に来ている中国人からの、“刺すような眼差し”に、実際のところ何も知らない生徒たちをさらすことの不安について、ということがありました。それは、私自身がこの数年間、日本軍に村人が200人以上も虐殺された村に住んでいるという事情から考え及ぶことで、なかなかきつい問題なのです。

ところが、実はこの日はちょうど“中秋節”と重なり、家に帰って家族と団欒をかこむために、午後は道路が大渋滞。にっちもさっちもいかなくて、結局開館時間に間に合わなかったのです。それで、特別に少し料金を払って閉館後に入れてもらいました。つまり、私たちだけで。

展示室を出ると、そこには広大な青い空が広がり、ようやく日常に“生還”したような、ふーっとため息が出る気分になります。多分みんな同じ思いだったのでは?

テラ・スコラツアーは、心の中にほんとうに様々な課題を、日々山のように積み上げつつ進行する旅です。

*中国の病院に入って点滴を打ってもらった。もっと雑に扱われると思っていたが、手際良く、丁寧に対応してくれた。731部隊の所では正直に言うと自分の中で昔あった事実を受け入れることができなかった。今の日本人、つまり自分達の今の生活から考えれば、同じ日本人がああいったことをしていたという事実がショックだし、信じたくない。

*何か言葉や文字では表せないものを感じた。ものすごく重く、深く、広くてくらい海の底みたいなよく分かんないけど、すごく、複雑な感じだった。

731部隊の跡地へ行きました。その中は、当時の人体実験を使った道具とか、その時の建物の中の様子の写真をいっぱい展示しています。731部隊の跡地から出た後は本当に複雑な気持ちでした!自分の中には中国人と日本人の血が流れています。どんなふうに考えればいいか、どんなふうに言えばいいか本当に分からなくなったのです。心がすごく痛いです。

*今日一日で「物」の見方が大きく変わりました。今日見学をして、見て聞いて、肌で感じたことを決して忘れないようにと思った。また、帰国したらより詳しく731部隊について調べ、自分なりにまとめたいと思いました。