9月6日 平頂山

みんな朝から食欲旺盛。ホテルの食堂で、お粥とゆで卵、炒めた野菜や干し豆腐など5、6点のおかずが出て、セルフサービスで自由に食べます。コックさんやウェイトレスじゃなく、“近所のおばちゃん”2人が用意してくれて、「みんな、勝手に自分でやってね」て感じで、なんだかとても“家庭的”なホテルです。

今年は東北地方も随分雨が降ったようで、今日も天気は悪そう。傘を持って出かけました。まず、すぐ近所にある「労働公園」へ。踊りを踊っている(エアロビ?)おばさんたち、楽器の練習をしているおじいさん、バドミントンに興じているグループ、読書している人、手話で会話しあっている集団などなど、とにかく様々な人たちが、きれいに手入れされた緑豊かな公園の朝を楽しんでいましたが、この公園も、満鉄が整備したもので、80年90年以上も昔は、この界隈にいたのは中国人ではなく日本人でした。

びっくりしたのは、リスがものすごくたくさんいて、しかもみな“餌付け”されていて、撫順市民と共存していることでした。ちいさま子どもたちが落花生を差し出すと、リスが何の警戒心もなく寄ってきて、モグモグ食べるのです。日本では見たことがない黒リスなどは、「こんにちわっ!」って、手を振るんですよ。一度など、カメラを構えている私の手元に飛び乗ってきました。いやぁ、かわいいこと。撫順市民の生活のゆとりを感じました。

その後に平頂山博物館へ。ここについてはすでにアップしていますが、1932年に、日本軍が3000人の村人を虐殺して、裏山をダイナマイトで崩して村ごと埋めてしまったところです。1971年に掘り起こされた800体ほどの遺体(骸骨)が、その事件があったそのときのままの状態で陳列されていて、日本人にはとりわけ辛い場所ですが、私たちのツアーでは毎年はずすことができない場所です。それを見て何を感じ、どのように受け止め、考え悩んでゆくかは、生徒たちに与えられたおおきな“宿題”となります。

夕方には、撫順駅に戻り、そこから歩いて「永安台」という、かつて満鉄の職員住宅があったあたりを散歩して、日本人が作った道路を歩き、日本人が作った階段を上り、日本人が作ったかつての「満鉄倶楽部兼大和旅館」へ行って、私たちにはとても“贅沢”な夕食をとりました。

イヤここでもみんな食べること食べること。人間の生の骨をあんなにたくさん見せられた後で、みんな食欲がわくのだろうかという私の心配は、見事杞憂に終わりました。