廟灯会

農暦では春節の2月3日を初一と数え、それから8日目の初八(2月10日)は、賀家湾では伝統的な廟灯会が行われます。日が暮れると、楽隊を先頭に、ろうそくを持った村人たちが家々から順々に集まって、村の中を廻ります。村人たち、とりわけ子どもたちの健康と幸いを祈願するものです。

これに合わせて今年は特別に晋劇が呼ばれました。晋劇というのは、山西版京劇といったところでしょうか、もともとこの地域ではとても盛んな伝統芸能です。これは村人たちがそれぞれお金を出し合って呼ぶもので、その村の豊かさのバロメーターにもなっているものです。下の招賢の町では毎年呼ばれます。近隣の村々でも、何年かに1回、農作業が始まる前の時期にもっとも盛んに行われるものです。

ところが、“ビンボー村”で有名だった賀家湾では、私は初めて見ますし、50代60代の人たちに聞いても、子どものころから見たことがないというのです。もしかしたら村始まって以来のおおごとだったのかもしれません。それだけ村が豊かになったということでしょう。私も200元出しました。

晋劇は初七、初八、初九の3日間行われました。3日間やるのが普通です。あいにく初日は雪が降ってとても寒く、お客さんはほんのぱらぱら。

ところがメインの初八には写真のようにものすごい人になりました。村長さんがうれしそうにいうには、350人の観客がいたそうです。これまた村始まって以来のことでしょう。

まだまだ寒さが続きますが、それでもピークは過ぎ、最高が0度を超える日が多くなりました。春節が過ぎればじきに春がやってきます。

そしてそして、悩ましい黄砂の到来とともに、春耕の季節がやってきます。黄土高原に暮らす農民たちにとっての新しい1年が始まるのです。