テラ・スコラ 賀家湾(ハージャーワン)分校

「地球が教室」のテラ・スコラには、なんと、中国黄土高原にも“分校”があるのです。お留守番をしているのは、分校長兼事務員兼先生兼給食当番兼お掃除おばさん兼々‥‥の不肖タカノツメと、なつめという名前の一匹の犬です。

“教室”は、これまたなんと、清朝の時代に建てられた「ヤオトン」という、この地方独特の住居で、黄土層をかまぼこ型にくり抜いた、“横穴式住居”です。入り口を除いて5面が土でできているため、保温効果抜群。夏は涼しく冬は暖かい、とても合理的な建築物です。このところ、日中の外気温は40℃を越えますが、ヤオトンの中は常に20℃くらいで、扇風機はおろか、うちわひとついりません。ただし、その温度差20℃。慣れないと間違いなく体調を崩します。

そんな山の分校に、テラ・スコラから3人の生徒とスタッフがひとりやって来ました。遊びに来たわけではありません。「社会参画」という科目の“スクーリング”です。

もうもうしょっぱなからタイヘンでした。彼らは北京空港で国内線に乗り換えて、午後9時半に太原に着く予定だったのですが、私が空港まで迎えに行くと、電光掲示板は、彼らの乗った海南航空のところだけが真っ暗。なんだか胸騒ぎがして、急いで案内所に走ると、「まだ北京を出ていない」というのです。30分ごとに聞きに行くこと数回。雷雨のため出発を見合わせているということがようやくわかりました。結局待つこと4時間、0時過ぎにようやく到着したのです。

太原に1泊して、翌朝は8時に出発。バスで離石まで行き、招賢の町から私がときどき利用しているミニバンタクシーに迎えに来てもらって、夕方5時過ぎ、テラ・スコラ賀家湾分校に無事到着しました。前宣伝が行き渡っているので、村人たちはみな興味津々、あっちからもこっちからも“熱いまなざし”が容赦なく飛んできます。

まずは村長さんにあいさつをして、それぞれ宿泊をお願いしている村人のヤオトンに向かいました。みんなシュラフ持参、食事も自炊なのでお互い気を遣うこともなく、簡単なあいさつだけして、休憩もなしでさっそく作業開始です。

なにしろ、「暮らしの基本のキの字を体験する」ことがまず第一の課題ですから、メシを作るためのカマド作りから始めなければならなかったのです。生活用水も、今日の分こそ、私が前もって用意しておきましたが、明日からは、ひとり1日バケツ1杯の水を、往復30分かけて谷の共同井戸まで汲みに行かなければなりません。この地では、先祖代々、今もってみなそうやって暮らしているからです。

という、超“過酷”でウルトラユニークな“スクーリング”を、参加した生徒たちはどのように体験し、何を学んでいったのかは、明日からまた順々にお伝えします。

(7月7日)