9月7日 戦犯管理所

撫順の中心部、つまりかつて満鉄職員を中心とした日本人居住地域というのはほんとうに限られた狭い地域です。その真ん中あたりにある銀座賓館からは、市内バスにちょっと乗ればだいたいどこへも行かれます。

「戦犯管理所」というのは、日中戦争時における戦犯が、“改造教育”(つまり、中国人にとっては、“鬼”の日本人から“人間”の日本人へ変わってゆくための日常的学習)を受けたところですが、ほんらいは、日本軍が作った監獄であり、当然街から離れた場所にありました。それを戦後に中国政府が管理所として1000名近くの日本軍戦犯を入所させたのですが、今回、実は銀座賓館からも歩いて行かれるところだということがわかったのです。

周りは商店が立ち並び、ごく普通の街並みで、それだけ撫順の街が発展したのだということがわかります。銀座賓館からは、ゆっくり歩いて40分ほどでした。

入り口の掲示板を見ると、高校生以下はタダだと書いてあったので、日本人にも適用されるのかと聞いてみると、係員の若い女性はにこやかに「いいですよ」と答えました。他の民営の施設では、けっこう入場料が高く、日本の学生証はまず使えないのですが、さすが“国営”でした。得した50元の入場料は、お小遣いとして生徒に返却しました。

内部の展示資料はとても興味深いものでしたが、ここでは長くなるので、関心のある方は以下をご覧ください。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%92%AB%E9%A0%86%E6%88%A6%E7%8A%AF%E7%AE%A1%E7%90%86%E6%89%80

管理所からバスで撫順駅まで戻り、そこで昼食をとって後、またバスに乗って、「龍鳳縦櫓坑」を見に行きました。私が今年の3月の下見で最も気に入ったところです。

http://d.hatena.ne.jp/takanotsume_terra/20130509/1368108451

そしてなんと、その時に偶然出会った、この櫓のかつての管理者であった、除さんに再会したのです。私以上に彼の方がびっくりしたかも知れません。なにしろ、はるばる遠く日本から、今は誰も振り向きもしない廃坑を、ほんとうに訪ねて来たのですから。龍鳳の勇姿をしばしながめた後、私たちはまたバスに乗って駅まで戻り夕食。

今夜は韓国料理店で焼肉を食べましたが、やっぱりみんなあきれるほど食べました。どうしてあんなに食べられるのか、とても不思議です。